北前船が育んだ、ふぐのまち|石川県白山市美川
日本三名山の一つである霊峰白山。
山頂から流れ出す雪解け水は白山市内を流れる手取川となり、美川地域を潤し日本海へと注ぎます。清らかな水、肥沃な大地の恵みは、人々に恩恵を与え、様々な加賀の発酵食文化の礎となりました。
先人の知恵を受け継ぎ、今も多種多様な発行食文化が作られています。
日本海に面する白山市美川エリアに息づく保存食の代表格、魚の糠漬。イワシやサバなどを塩漬にした後、糠漬にして発酵させるものです。冬期には海が荒れて漁もできない土地での先人の知恵が詰まった伝統食で、現在美川では6軒がその技を受け継いでいます。
ここ美川では、猛毒をもつといわれるゴマフグの卵巣も同じ方法で発酵させ、約3年をかけて解毒させるという珍味、「ふぐの子糠漬」があります。高温多湿な気候の中で、塩漬で水分と毒が抜け、さらに糠漬の発酵によって解毒したと考えられ、「奇跡の発酵食」と呼ばれています。毒性検査で国の基準をしっかり満たしており、安心して食べることができます。
かつては北前船が寄港し、全国各地との交易が盛んだった美川漁港。現在は定置網漁の漁船が出航する港で、漁期は4月中旬~11月中旬。タイやアジ、ヤナギサワラ、シラス、トラフグなど季節によって多種多様な魚介が水揚げされ、新鮮な魚介を扱う料理店も点在しています。